リン酸鉄リチウムイオンバッテリーとは?
近年注目を集めている「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」についてご存知でしょうか。従来の三元系リチウムイオンバッテリーと比べて、発火や爆発のリスクが非常に低く、長期間にわたって安定した性能を発揮します。その安全性の高さ、長寿命、そして安定した出力性能で注目されている「リン酸鉄リチウムイオンバッテリー」の特徴、メリット、デメリットについて解説します。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの特徴
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、リン酸鉄を使用したリチウムイオンバッテリーの一種です。安全性・長寿命・安定性・環境への配慮に優れています。

リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのメリット
安全性
リン酸鉄リチウムは、結晶構造が崩れにくいという特性から熱安定性が高く、過熱や短絡による火災のリスクが低いです。
長寿命
蓄電池の寿命は、充電が100%から0%になるまでを1サイクルとし、何サイクル利用できるかで判断をします。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは3,000回以上の充放電サイクルが可能とされており、各社メーカーページのサイクル数は6,000~12,000回と記載されています。仮に1日1サイクル使用した場合では約16年~約32年も使用することができます。毎日50%程しか使わないのであれば1日0.5サイクルとなりますので倍の期間使用でき、さらに長期間にわたって使用することが可能です。ただし、使用環境やメンテナンス状況によって寿命は変動する可能性があります。
安定性
高温に強く安全性が高いだけでなく、-20℃の低温環境まで使用可能であり、温度幅の広い環境でも安定して動作します。
環境への配慮
製造プロセスにおけるCO2排出量が少なく、二酸化炭素の排出削減に貢献します。また、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは無毒であるため、取り扱いや廃棄が安全で、環境汚染も軽減されます。さらに、リサイクル性が高く、資源を節約し、廃棄物を減らすことができるため、環境への影響を最小限に抑えることができます。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーのデメリット
エネルギー密度が低い
三元系リチウムイオンバッテリーに比べてエネルギー密度が低いため、同じ容量のバッテリーで比較すると体積が増えて重くなってしまいます。また、設置面積が増えるので置き場が制限されてしまうことも問題になります。
価格が高い
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは他の種類のバッテリーと比べて価格が高めです。原材料は抑えられますが、製造工程や特許料にコストがかかってしまい、製品価格を押し上げる原因となっています。
三元系リチウムイオンバッテリーとの比較
三元系リチウムイオンバッテリーとリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの違いを以下の表にまとめました。
リチウムイオンバッテリー
リチウムイオンバッテリー